第15章 夏休み
「大丈夫…? さやかちゃん。熱中症?」
祐樹が心配そうな顔で、私のおでこに手をあてる。
「多分。でも、もう大丈夫だよ」
私は彼の顔を見てニコッと笑う。
「よかった」
彼もニッコリ微笑む。
祐樹の笑顔を見て、なんだかホッとする。
「ごめんね、心配かけて」
「ううん」
彼が私の頭を優しくポンポンとする。
祐樹…。
「しばらく休んだら帰ろうか。俺、送ってくよ」
「ありがとう…」
うぅ泣きそう…。
「わたし…昨日あんまり寝れなくて…
祐樹が東京…わたし東京には…行けない…
うわぁーん」
泣いちゃった…。
「さやかちゃん…」
「えーん…ぐすぐす…ぐすん…」
「よしよし…」
彼が私の頭をなでなでしてくれる。
「まだ、先の話だよ。それまでずっと一緒だし…離れたって一緒だよ。俺、さやかちゃんのことずっと好きだよ」
「うん…。ぐすん…」
わかってるけど…。
「東京行っても、ちょくちょく帰って来るよ。さやかちゃんに会いに。夏休みには旅行もしよう」
「うん…」
そうだけど、でも…。
「俺も寂しいけど…東京で一人とか不安だけど…さやかちゃんがいるから頑張れると思うんだ。
だから、俺の支えになって」
「うん…」
とりあえず頷く。
自信はない。
でも祐樹が東京の大学に行きたいのなら…仕方ない…。
祐樹ならきっと東京の大学に受かると思う。
離ればなれで、少なくとも4年か6年…それ以上…。
私たちどうなるのかな…。