第15章 夏休み
「さやかちゃん、志望校はもう決まってる?」
一緒に勉強してるとき、祐樹に尋ねられる。
「え…ううん」
私は返事する。
志望校っていうか…どこか入れそうな所から選ぶ感じになるかな?
「俺はね、東京の大学行くから」
東京…。
「だからさやかちゃんには、東京の大学か、地元の大学に行って欲しいな。
東京だったらもちろん向こうで今まで通り付き合えるけど、地元でも帰って来たときに会いやすいだろうから。家にはちょくちょく帰ってくるだろうし」
「うん…」
私は東京の大学なんて考えたこともなかったな…。
「大学生になったら夏休みとか一緒に旅行したりしようか。ディズニーランドとかUSJ…それとも温泉とか?」
楽しそうに彼が語る。
遠恋…。
……
家に帰った私はマンガを読む。
遠恋の大学生の少女マンガ。
ゼミ、サークル、バイト…。
新しい出会いがいっぱい…。
しかも東京…一人暮らし…。
私の祐樹が…私だけの祐樹が…。
私にそんなの耐えられるのかな…。