第14章 変わった
「わたし…帰るね…。こんなこと話してても何の役にも立たない」
私は勉強道具をしまって帰る準備をする。
山本くんは、そんな私を止めもしない。
私はリュックを背負う。山本くんとお揃いの…。
山本くんは黙って見てる。
「それじゃ…」
私は部屋を出て、階段を降りて、玄関を出る。
山本くんは追いかけても来ない。
ふん…。
私は駅に向かって歩く。
……
駅に着いたけど、なんか帰る気になれなくて、いつも朝に山本くんが私を待ってる場所でなんとなく立つ。
だいたい山本くんって前からリア充意識しすぎ! バカバカしい…。
そういえば私はバカだと思われるのが嫌だ…。
友達とかに言われるのは平気なんだけど、山本くんにバカだと思われたくない…。
でも山本くんは私の成績全部知ってるし、勉強を教えてくれてるんだからバカはとっくにバレてるはずなのに。うーん…。
いろいろ考えながら突っ立ってると声をかけられた。
「須藤、こんなとこで何やってんの?」
あぁ斉藤くん。
「べつに…」
とりあえず返事する。
「もしかしてなんか元気ない? ちょっとハンバーガーでも食べてく?」
斉藤くんがニッコリ笑う。爽やかだなぁ。
ハンバーガー食べながら、斉藤くんに話聞いてもらうかな…。
斉藤くん恋話好きだし。
斉藤くんなら優しく話聞いてくれそう。
あれ? でも山本くんだって優しかったよね…。
今だって優しいはず…。
うん。
大事な話なんだから、他の人じゃなくてちゃんと本人に話さないと…。
「ありがとう、斉藤くん。
わたし忘れ物して、取りに行くかどうか迷ってたんだけど、やっぱり取りに行ってくる。じゃあね!」
私は斉藤くんに手を振って別れる。
そして山本くんの家に戻る。