第14章 変わった
「うん…」
私はとりあえず頷く。
でも顔を上げられない。
「さやかちゃん。さやかちゃんが心配することなんて何もないんだよ」
彼が私の髪を撫でながら優しく言う。
そして私の顔を上げさせて、唇にキスしようとする。
私はそんな彼の身体を押しのける。
そして話す。
「どうせわたしなんてそんなことしとけば気がすむだろって思ってるんでしょ?
山本くん…変わった…。
ちょっとモテるようになったからって調子にのってるんじゃない?
前はもっと真面目で…わたしだけの山本くんだったのに…」
黙って私の話を聞いていた彼も口を開く。
「自分は同級生の男と仲良くしてるくせに…。
俺がちょっとアイドルの応援したり、メル友出来たりしたら文句言うの?
俺は別に何も変わってない。
変わったとしたらさやかちゃんのほうだろ?
自分がリア充に戻ってから、ずっと俺のこと見下してたんじゃないの?」
「へ? 見下すって何よ? ていうか同級生の男って何のことよ?」
「俺がリア充っぽいことするのが気に入らないんだろ?
リア充の私がイケてないガリ勉と付き合ってやってるって思ってたんだろ?」
「はぁ? 被害妄想だよ! ていうかだから同級生の男ってなんのことなの?」
「斉藤だよ! 付き合ってるんじゃないかって噂されるぐらい仲いいんだろ?」
「そんなの1年生が勝手にしてる噂話だよ。
そういえば山本くん1年生に随分モテてるみたいだから、そんな噂話が入ってくるの?
仲良くしてる女の子でもいるの?」
「想像でもの言ってケンカ吹っかけるのやめろ!」
「それはそっちも同じでしょ!」