第14章 変わった
床に置いてあったスマホがブルッてなる。
私はなんとなくそっちを見る。
山本くんのだ。
画面にLINEのメッセージがちょっと表示されてる。
『ナオミだよ〜祐樹げんき?きょうね…』
……。
「ナオミ…?」
私はそれを見てつぶやく。
「あぁナオミ?」
山本くんがスマホを拾って言う。
「メル友だよ。こないだの全国大会で知り合ったんだ。英語弁論大会の」
「女の子だよね…。名前呼びすてなんだ…」
私の言葉を聞いて彼がふっと笑う。
「帰国子女なんだよ。中学までカナダにいて外国人みたいなもんだから。さやかちゃん、英語しゃべれなくても英語圏の人が気軽にファーストネームで呼び合うのは知ってるだろ?」
なんかムカッ
「バカだと思ってるんでしょ…」
思わずつぶやく。
「は?」
「どうせ、わたしなんて英語もしゃべれないバカですよ…」
「どうしたの? さやかちゃん。そんなこと思っていないよ」
彼が優しく言う。子供に話すみたいに。
悔しい。泣きそうになる。こんなことで泣きたくない。
「本当にただのメル友だし。電話番号さえ知らないよ。IDだけ交換したんだから。何人かでね。みんな住んでる所もバラバラだよ。ナオミなんか北海道だよ」
彼がちょっと笑いながら言う。