第5章 フクロウと主様と名前。
「・・・・名前、無いの?」
『うん、まあね』
「何でもいい?」
『うん、何でもいい。あ、変なのは嫌だなあ』
「分かってるってば」
(名前、ねぇ・・・)
目の前のネコを見て考える。
「・・・シロとか?」
『とかって何。それは単純すぎない?』
「だって白いじゃん」
『だって白好きだもん』
目の前のカミサマは、白い。
そういえば最初のオオカミの姿も白かったな。
「・・・じゃあクロ?全然黒くないけど」
『じゃあってやめてよ。なんか適当っぽい』
「・・・何でもいいって言わなかった?」
やっぱ適当過ぎたか。
(そんなこと言われてもなあ)
「・・・急にそんなこと言われても分かんないよ」
『そう、だよね。ごめん、変なこと言って』
「何言ってるの。だから、もう一日ぐらい待って?」
カミサマはしょんぼりしたかと思うとびっくりしたようにこちらを見た。
「・・・駄目?」
『・・・あ、いや、ううん。ありがとう、何日でも待つよ』
「うん。いい名前にするから!」
『あ、ありがと・・・』
そう言うと、カミサマはベッドから降り、いつの間にか寝ているフクロウのところへ行った。
『こら、帰るぞ、ネネ。起きろー』
「・・・ねね?」
『あ、コイツの名前はネネ。僕が名前付けたんだ』
「かわいいね。・・・ねえ、帰るの?」
『うん。今日はひとまず帰ろうと思うよ。明日、また来るから』
「・・・そっか。なら、また明日」
『うん』
カミサマはフクロウ――――ネネを起こすと、入ってきたであろう窓から出て行った。
『・・・良かったですね、主様』
『何が?』
『会いたかったんでしょ。ずっとずっと待っとったくせに、ウチに行かせてからに』
『・・・ごめんって、ネネ』
『まあ、別にええですけど』
『・・・そんな怒んなくても』
『別に怒ってなんかないです。――――主様、嬉しいんでしょ?頬の筋肉緩んどりますよ』
『え、嘘!?』
『嘘です』
『・・・・・・・・』
『明日も行くんですよね』
『うん。あ、ネネ、行く前に少し寄りたいところがあるんだけど――――』