第5章 フクロウと主様と名前。
そのまま、私が何も言わずにいると何を勘違いしたのかオオカミは『ふむ』と言って、少し考えるそぶりを見せた。
『・・・この姿は結構気に入っていたんだが・・・どうやら逆効果だったみたいだな』
「・・・え?」
『なら・・・これならどうだ?』
そういうとオオカミは煙になり、それからさっきとは違う形になった。
「・・・ネコ?」
『ふむ、これなら問題なさそうだな。よし、本題に入ろう』
勝手に自己完結して私の膝に乗っかってくるところを見ると、まあご機嫌なんだろう。
今まで一言も話さなかったフクロウの声が聞こえてきた。
『あのー』
「・・・・・?」
『主様!遅い!!ウチ、主様が後から行く言うたから先に行ったのに。ホンマに、おかげでそこの子寝そうになったんやで?全く、もー』
フクロウはプンすか怒って、羽をバサバサしている。
『・・・いや、その』
『言い訳は聞きとうないです!!』
『だから、』
『さっきの喋り方やめて下さい!!』
『もー・・・ごめんて・・・』
ふと会話を聞いていて、一つ引っかかる。
(・・・今、主様って言った?)
「あの・・・ちょっと・・・」
『ん?何?』
思わず話しかけてしまったのだが、ネコのさっきまでの口調が全然違うのでびっくりしてしまった。
それが表情に出ていたのか。
『怖がらせてごめんね。こっちが普段の喋り方なんだ』
「・・・へっ、あ、うん」
『キミもこっちの方がいいでしょ?』
と、私の手に顔をこすりつけながらそう言った。
「今、主様って・・・」
『あ、うん。前にアンタに話したやろ?』
「あー・・・うん」
『二年前のアンタのケガを直したのもそこの主様やで』
「え・・・!?」
(どうやって・・・?)
私とフクロウが話していると『ねー』という声が聞こえた。