第5章 フクロウと主様と名前。
『寝ているのか?』
「・・・・・・・」
知らない声がした。
手を伸ばすと、フサフサの何かが手にあたった。
その直後、フクロウの絶叫が聞こえた。
『・・・・・・』
「・・・・・・」
その感触に目を開ける。
「・・・・・・・っ?」
びっくりしすぎて声が出なかった。
肝が冷えた。
『・・・起きたか』
そこには、大きな白い・・・犬?
『ちなみに、犬ではない。オオカミだ』
私の考えを読み取ったように声が聞こえてくる。
ならば、さっきの知らない声はこの犬・・・じゃなかったオオカミ?狼?
ふと、さっきのフサフサは何だったのか手を辿っていくと。
「っ」
私の伸ばした手は、その白いオオカミの毛に触れていた。
もう何と言っていいのか分からない。
私がバッと手を引っ込めると、フッと笑う声が聞こえ心なしか目が細められていた。
『元気・・・だったわけでもないのか』
オオカミは私の包帯だらけの身体を見ると、そう言った。