第5章 フクロウと主様と名前。
「え?どうしたの?」
『何で傷だらけになってんの?この前主様が直したばっかりやない。まあ、二年前だけどさ?主様、ずーっとアンタのこと心配しはってん。なのにアンタ・・・』
「・・・あ、えっと・・・」
窓枠に立ちながら話すフクロウ。
『ん?ちとケガしすぎやない?ねぇ?』
「・・・・・・」
『あ、そうそう。ウチな、今日何でここに来たかってな、ちゃんとした用事があるんよ』
「あ、うん・・・」
『あ、中入ってもええ?出来れば、アンタの肩借りたいんやけど』
「あ、うん・・・いいけど」
答える前にフクロウは私の肩に飛び移る。
ズシリとした重みが来るのかと思いきや、乗っているのか分からなくなるほどの軽さだった。
(フクロウって見た目よりも軽い・・・?)
『あ、窓開けといてな』
「・・・何で?」
『それが主様の言いつけやから』
「・・・うん、分かった」
そう答えると、私はベッドへと腰かけ、フクロウを肩から下ろし頭を撫で始めた。
ふわふわー、もふもふー。
フクロウも目を閉じかけており、とても眠そうだった。
私が思わず笑みを零すと、フクロウはいつかと同じようにハッと気が付いたように頭をブンブン横に振った。
『っ、あかんて!!ウチが主様に怒られてまうやろ!!』
と言いながら、羽をバサバサしている。
「ねえ、用事って・・・?」
『ああー・・・あのなあ、もう少しまってくれへん?あともう少しで・・・』
「もう少しで?」
『・・・ま、そのうち分かる。お楽しみっちゅーことで』
「・・・はあ、」
何だか納得いかない私の様子は正反対、フクロウはクルルルと喉を鳴らし、ご機嫌の様子だった。