第5章 フクロウと主様と名前。
イタチが作ってくれていたご飯を食べ終わり、椅子に座りながら話をしていると、ふとイタチが時計を見て立ち上がった。
「もう帰る?」
「ああ。今日はどうしても戻らないといけないんだ。・・・ごめんな。本当はずっとそばにいてやりたいんだが・・・」
「ううん。ありがと。もう大丈夫だから」
「ごめんな。お前には甘えてばかりだ」
「だから大丈夫だってば!ほら、イタチ兄さんいってらっしゃい。また来てね」
(・・・甘いな・・・)
イタチはブラコンに劣らず、少々心配性だと思う。
イタチはそんな私を心配そうに見つめた後、頭を撫でて、出て行った。
「・・・・はー・・・」
バタンと扉が閉まると、途端に部屋が広く感じられた。
特に何をするわけでもなくボーっとしていると、突然どこかからコンコン、と音が聞こえた。
「・・・・・・・!!」
あんなことがあったばかりなので自分でも驚くほど過剰に反応してしまって、身体が固まる。
イタチはもう帰ってしまった。
もう頼れる人はいない。
(・・・大丈夫)
そう自分に言い聞かせ、おそるおそる部屋を見渡してみる。
カツン、と軽い音がした。
(ん?)
見ると、窓の外に見覚えのあるフクロウがいた。
≪・・・ハッ・・・!いかんいかん、ついつい寝てしまうところだったわ≫
(・・・あの時の?)
思い返してみれば、そのフクロウのお腹にハート型の模様があったのでよく覚えている。
戸惑いつつも、窓へ近づき窓を開ける。
風がザアッと一気に部屋の中に入ってきて、思わず目を閉じた。
『――――久しぶり!ウチのこと、覚えてくれとる?』
前と同じ、フクロウのマシンガントークの幕が開いた。