第50章 番外編2
「お互いがお互いに罪悪感を抱いてるから余計に面倒だよね。それさえなければ、キミも頷いていたかもしれないけど」
「・・・ごめんね、仕事で疲れてるのに」
「いいのいいの、キミのためなら何時間だって相談乗っちゃうよ。それに、前回も前々回もあんまり話せなかったから、今日くらいはキミとゆっくり話したいな」
スイレンはにこやかに笑う。
なるほど、これはカッコいい。
マリが失恋して泣きそうになるのも、少し分かるかもしれない。
お相手はさぞ綺麗な人なのだろう。
「・・・あ、そうだ。僕いいこと思いついたよ」
「え、なに?」
「キミがイタチに断る口実」
「断るって・・・私まだ決めてないし、それを相談するために来たのに」
「え?まだ決めてなかったの?・・・家族になるってことはお互い支え合っていくってことだけど、でもそれって言い換えればお荷物になるってことだよ」
「・・・」
「今度こそ迷惑にならないって思ってるんでしょ」
「・・・」
「だったら僕のところに来れば?」
「・・・え?」
「キミも僕に対してなら遠慮もしないでしょ?そうしたら・・・」
「いや待って、誰もアンタに遠慮しないって言ってないから!アンタ本当、そういうとこ変わってないな・・・!」
話がとんでもない方へ向かっている。
(コイツ、何考えてるんだ?)
何か企んでいるのかどうなのか。
にこやかに小首をかしげているが、私は騙されない。
「ちょっと、変にイケメンぶるのやめて。アンタ何考えてるの?・・・もし、仮に私がスイレンの家に住んだとして、メリット何かある?ないよね?何か企んでるんなら今のうちに白状して」
「やだなあ、何も企んでなんかないって。全部キミのためだよ?」
「その笑顔が嘘くさい」
「キミって僕には本当辛辣だよね。僕にそんなこと言うの、キミくらいだよ」
スイレンはやれやれという風に肩をすくめる。
「もちろん、タダで住んでとは言ってないよ。君は僕の家に家政婦として住み込みで働いてもらう。これからお金は嫌でもいるんだし、僕が雇い主になってあげるよ。ね、どうかな?悪くない話だと思うんだけど」
「・・・」
「じゃあ、十秒以内に決めて。数えるから」
スイレンはいつからこんな性格になったんだろう。
焦って考え始める私を見て、微笑みを浮かべている。