第49章 番外編いち
「・・・ハル姉、いいの?」
「いいの。マリ、ごめんね。お前は何も悪くないのに」
「別に気にしてないから。・・・ハル姉はすごいよね、冷静に物事を見れて・・・私は全然、ハル姉とは違う」
マリにとっての私とは、どこまでも“姉”であって、それは揺るぎない無条件の好意の表れだった。
血は繋がっていない。
でも、私にとってマリとは、大事な妹であり、ゆえに愛している。
この気持ちは嘘じゃない。
だからこそ不思議に思う。
あの頃、私を愛してくれた人たちは、どうして私を愛してくれたのだろう、と。
「ねえ、マリ」
「なに?」
「・・・どうして私のこと、そんなに好きでいてくれるの?」
理由がないから不安になる。
家族だからといえばそれだけだが、やはりどうしても不思議になる。
愛されるということは、大切に思われるということ。
私にはそんなことを思われる資格はない。
(まあ、いくらこんなことを言ったところで今は関係ないんだけど・・・)
結局、いつまでも過去を引っ張っているのは、この私。
みんなが前を向いているのに対して、私は後ろを向いて立ち止まったままだ。
変わりたくない。
変わるのが怖い。
あの頃みたいに、みんなの声も思い出せなくなるなら。
(会わない方が幸せなんだよ、私もみんなも。・・・なのに、どうして分かってくれないの・・・?)
ポカンとしているマリと目が合って、ハッとした。
撤回しようとすると、意外にも彼女は口を開けた。