第49章 番外編いち
「私はハル姉に何言われても、どんなに突き放されても、最後はやっぱりハル姉に頼っちゃうんだと思うよ。ハル姉はみんなのお姉ちゃんだけど、私にとっては、たった一人のお姉ちゃんだから」
「・・・うん」
「私が困ってたら、ハル姉は助けてくれる。私はハル姉みたいに何でもできるわけじゃないし、頭も良くないけど・・・私はハル姉に会えたから、親がいなくてもいいやって思えた」
「・・・」
「私は不幸なんかじゃない。むしろ幸せだよ。・・・たとえ親に愛されなくても、血がつながっていなくても、私はハル姉の妹でいられることが嬉しいから」
「なんか恥ずかしいね」と言って、マリがどこかへ行く。
可愛らしげに小さく笑った彼女に対して、私は体中の力が抜けて座り込んでしまった。
(ダメよ、マリ)
私はあなたの期待には応えられない。
私は、そんな風に思われていい人間じゃないのに。
マリの言葉が私の中を強く揺さぶって、私は何のショックかも分からず、しばらくその場から動けなかった。