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うちはに転生しました。

第49章 番外編いち




「知り合いなの?」

「いや、別に・・・」


曖昧な返事でも、マリは相槌を打つだけだった。


(さっさと帰ってほしい・・・女の子が欲しいってことは、もう結婚してるってことか。誰?弥彦とか、長門とか?)


聞くことができないので、勝手な想像で相手を探してみる。

もしかしたら私の知らない人かもしれないので、そこら辺で想像は終わらせた。


(マズイなあ、参ったなあ・・・何の偶然なんだろうか)


愛されていた自覚があるから、今度こそ私を気にかけないでいい人生を送ってほしい。

どんな顔をして会えばいいか分からないという気持ちも少しはあるけれど、会いたくないという気持ちの九割はそれで占めている。

すると、突然マリが私の手を掴んで立ちあがらせた。


「え、なに」

「いっしょに外行こう。最近ハル姉が遊んでくれないってみんな言ってたし・・・あの女の人に会いたくないなら隠れとけばいいじゃない」

「いや・・・外に出た方が会う確率高くなるでしょうが」

「大丈夫だって。心配するなんて、ハル姉らしくないよ?」

「私を何だと思ってるのかな、マリは」


まあ、それもそうだ。

そもそも向こうが私を認識していない以上、隠れていればバレることはない。

それがまた甘かった。

どうやら、私はどこまでも甘い人間らしい。

ここで悪いのは誘ってきたマリではなく、他でもない頷いた私だ。

偶然―――いや、もはやここまでくれば、必然又は運命。

トイレに行くらしい彼女と、それを案内している先生の二人にバッタリ会ってしまったのだった。


「やば、」


マリが私を隠すように前に出る。

だが、それも一足遅かった。

マリがそうするより前に、目が合ってしまっていた。


(・・・最悪だ・・・)


彼女が持っていたバッグを床に落とす。

先生が「え?」というような表情でそれを拾うが、彼女は未だ立ち尽くしたままだった。

私も一瞬だけそうなりかけたところで、マリの背中を押す。


「行くよ、マリ」

「あ、うん・・・」


通り過ぎた時、彼女が私の腕を掴んで引き留めた。


「ま・・・待って、ハル・・・」

「・・・誰」

「え・・・?」

「離してもらっていいですか?」


出た声は、思ったよりしっかりしていた。

私を見る小南の目が揺れている。

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