第49章 番外編いち
「そんなことしかできないなら、死ぬまでに会えるかどうかも分からないね・・・僕がこれだけ有名になってるのに会いに来ないってことは、生まれてないか、別の国か、もしくはその気がないってことなのかな」
「会いたくないってこと?・・・まあ、そうね・・・そこら辺は私たち、何とも言えないけれど・・・」
「そうだな。少なくともオレは言える立場じゃないし、正直どの面下げてんだって感じだろうけど・・・まあ、とにかく会えたら謝るかな」
「そうですね。私も結局、最後は会えずじまいで終わりましたから」
置いていってしまったという罪悪感を拭えないまま、彼らは生きてきた。
それについて彼女がどう感じたか分からない。
もしかしたら気にしていないかもしれないし、もしかしたらその逆かもしれない。
勝手な想像であるし、完全に一方的な思いだったが、彼らは“もう一度”と願わずにはいられなかった。
―――愛していた。
いつの間にか深入りして、情が移り過ぎたのかもしれない。
それでも、大切な存在だと―――生きてほしいと思っていたのは、揺るぎない事実だ。
そして、今でも愛している。
もうずっと会えていないのに、変な話だと自分たちでも思う。
それでもいい。もう一度会いたい。
そんな思いを胸に抱きながら、彼らは毎日を過ごしていた。