第47章 新たな一歩
“オビトに何かの術を掛けられてしまった。左手周辺にアザが広がっていて、スイレンでもどうすることもできないらしい。たぶん、オビトの言葉から推測するに、自我を失わせる術だと思う”
(・・・あの男、ハルを操るためにそんなことを)
今さらながら怒りがこみ上げて来るが、もう終わったことだ。
あの男ももうこの世にはいない。
そして、ついに最後のページにたどり着いた。
そのページを最後に、あとは全て白紙だ。
(これが最後・・・)
“小南ちゃんが私を逃がして、たぶん死んでしまった。どうして私を生かそうとするんだろう。・・・オビトは小南ちゃんを殺して、私を捕まえに来る。あの人の操り人形になってしまえば、私は戦争で使われてしまうのかな”
“万華鏡写輪眼なんて開眼しないで良かったのに。・・・きっと私はこれからたくさんの人を殺してしまう”
“スイレンには私を殺させる約束をさせたけど、あの子は私を殺せないかもしれない。優しい子だから”
“みんなの前では死にたくないな。特に、サスケ兄さんの前は嫌だ。私が死ぬところなんて、絶対見られたくない。・・・ごめんね、一人にさせちゃって。ずっと私のこと忘れないでいてくれてるの、嬉しかった”
“次に目が覚めるのいつになるんだろう。でも、夢みたいに幸せな人生だったな”
その言葉で、その本はハルの日記は終わった。
わけもなく、サスケの目から涙がこぼれる。
「っ・・・」
「・・・やっぱり、主様の言う通りアンタに渡してよかったわ」
「・・・」
「アンタもハルのこと、大好きだったんやな」
ネネの言葉がサスケの涙の後押しをする。
この本にハルの気持ちが全て詰まっているような気がした。