第47章 新たな一歩
「ウチな、大好きだったんよ」
「?」
「あの二人のこと。ホンマに・・・なのに、二人して死ぬなんてなあ・・・ホンマずるいわあ」
「・・・」
「あの二人、死んでもいっしょなんやなあ。・・・でも、それがええんよな」
ネネが一冊の本をサスケに渡す。
「それが頼まれとった物や」
「・・・なんだ、これは」
「もともと、ハルのものらしいで」
「・・・ハルの?」
「うん」
「・・・スイレンはなぜ、オレに」
「わからんの?」
「・・・」
「・・・ハルが一番、アンタのこと気にかけとったからやろ。主様はあの子のこと最優先に考える人やもん。ハルのこと知らんアンタに、ハルの軌跡を知ってもらいたかったんやないの」
彼女の言葉に促されるように、サスケはその本を開いた。
パラパラとめくっていく。
本の内容は、ある一人の男が本当の幸せを探しに旅に出るというものだった。
話は、男が結婚するところで終わる。
そのあとのページをめくると、そこからは文字が書いてあった。
「・・・これは・・・」
“イタチ兄さんからノートをもらった。本に書くのはちょっと恐縮だけど、これから日記を書こうと思う”
そこで、これがイタチからもらったものだと気づく。
(・・・これが、ハルの字)
こんな字を書くのか、と思う。
少しクセのある字が愛おしいと感じると同時に、妹の字も知らない自分に、妹のことを何も知らないことを思い知らされる。
“今日はサスケ兄さんに会いに行った。楽しかった”
“今日は七班の任務について行った。再不斬と白を逃がすことには成功したけど、私がしくじった。いつの間にか風邪を引いていたらしい。鬼鮫さんにクロのことはバレていないはずだけど、勝手に動いていることがバレた。イタチ兄さんには言わないでいてくれるらしい”
“今日は、中忍試験に参加させてもらった。死の森で大蛇丸に呪印をつけられてしまった。サスケ兄さんにもついてしまったし、私の手にもついてしまった。タイミングが少しの遅かったらしい、最悪。失敗した”
“今日、三代目が死んだ。大蛇丸が仕掛けてきた。私が見殺しにした”