第4章 弱いものいじめ。
「――――少し痛いかもしれないけど我慢して」
そう言ったクールビューティーなお姉さんは、私の所々血が滲んでいる包帯を外すと傷の具合を見始めた。
イタチは外に出るように言われているのが聞こえた。
(・・・・おお・・・小南だ・・・!超美人)
実際に見る小南はとてつもなく美人でしばらく私もガン見していて、小南と目が合ってからあわてて顔を背けたのだった。
「・・・・痛かったでしょう」
「・・・え・・・?」
その声に顔を上げると、小南は慈愛の含んだ目で私を見ていた。
「・・・イタチから、大体の状況は聞いたわ。こんなに傷だらけになって・・・」
私は、何も言えなくて、ただ俯くしかなかった。
「・・・・っ・・・・」
「もう大丈夫よ。だから、泣いてもいいの」
まるで、諭すようなその声色に、気を抜いたら目から涙が零れ落ちそうで、唇をギュッと噛みしめた。
「よく、耐えたわね」
「・・・・っ・・・」
頭を撫でられ、そっと抱きしめられる。
私の頬に一筋の涙がこぼれた。
「怖かったよね。痛かったよね」
「っ・・・うん・・・」
―――――本当は。
心が悲鳴をあげていた。
もう、これ以上は無理だと。
もう、これ以上は耐えられない。
それでも、気付かないフリをしていても平気だった。
(――――前の世界にいたころは)
前の世界では、私に優しくしてくれる人などいなかった。
だから、だんだん壊れていくその心に、正常に機能しない感情。
オカシイと分かっていても、認めるわけにはいかなかった。
でも、この世界は違った。
いろいろな愛と優しさをもらって、平気じゃなくなった。
気付かないフリは出来なかった。
(私は、何で泣いてるの?)
前は、こんなことなかったじゃない。
(私はコッチに来てから、よく泣くなあ)
自身にあきれつつも、弱くなった自分にどう対処したらいいのか分からなくなった。