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うちはに転生しました。

第44章 大切なもの





「かはッ・・・!」


サスケの苦しげな声が聞こえた。

刀を少しだけ前に引っ張っると刀が抜け、サスケが前のめりに倒れこむ。


「やはりお前はおもしろい。・・・感謝など久しぶりにされたな」


マダラがそう言い残すと、私たちに背を向け、どこかへ行ってしまったのが見えた。


「おい、お前たち!しっかりしろ、目を閉じるんじゃない!」

「・・・は、あ・・・二代目・・・お目に掛かれて、光栄・・・」

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」


二代目・扉間の声が聞こえる。

私は刀を抜くと同時に、血を吐き出してしまった。

そして、足に力が入らなくなり、すぐに倒れてしまった。


「・・・オレは・・・死ねない・・・まだ・・・ハル・・・」


揺れる視界で、サスケが私の方に顔を向けたまま、意識を失ったのが見えた。


「だめ・・・起きなきゃ、サスケ兄さん・・・」


歯を食いしばって、腕の力だけでサスケのところへ這っていく。

やっとのことでたどり着くと、すでに彼の体からぬくもりが消え始めていた。


(や、めて・・・やめて・・・)


いくつかの記憶がよみがえる。


(待って・・・みんな・・・)


冷たくなった体なら、もう触れたくない。

何も言わなくなってしまった口なら、体ごと私の前から消えてしまえばいい。

思い出だけを残していくのなら、そばにいて。

幸せな過去を抱いて眠りにつく日々を、どうか終わらせて。

この世界に、私を置いて行かないで。


もう、誰かの最期なんて、見たくない。


「死なせない・・・」


震える手を、サスケの傷口の上に置く。

ありったけのチャクラはもう、さっきの瞬身に使ってしまった。

それでも、絞り出すようにして、わずかなチャクラを手に集中させる。


「おい、うちはの・・・そんなことしたら、お前が・・・!」


扉間の焦ったような声が聞こえる。

少しずつだが、出血が収まってきていた。


「よかった・・・」


ホッとした瞬間、誰かの足音が聞こえ、意識が遠のいていく。


「スイレン・・・」


目を閉じる前に浮かんだのはスイレンの顔だった。


(ごめん・・・私・・・)



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