第43章 対峙
「ああ。少し寄り道をしていたところだ」
「・・・寄り道?」
「ああ。アイツの様子が気になったものでな。オビト、上出来だ。しっかりと手中に収めている。いい働きをしていた」
「オレが失敗するとでも思ってるのか」
「お前はヘマをするかもしれんからな。・・・もうすぐ来るはずだ」
彼が現れたことで、険しい表情を浮かべる一同。
しかし、マダラの隣にもう一人、姿を現した。
「ッ・・・ハル・・・」
「クロ・・・!」
戦場に駆けつける道中で見た、彼女がいた。
これは分身ではなく、本体だろう。
スイレンの雰囲気が、一気に張りつめたものに変わった。
「行け、ハル」
彼女はその言葉を聞くと、特に返事もせず、ナルトたちの方へ走っていく。
片手には刀。
よく見ると、衣服にはところどころ黒いシミができていた。
それが返り血であること、そして自らが受けた傷から滲んだ血であることを、スイレンはすぐに理解した。
だからこそ、スイレンはクナイを手に、一歩を踏み出した。
そして、鈍い金属音を響かせた後、一度距離をとった。
「ハル・・・」
スイレンが悔しそうな表情を浮かべ、ハルの姿を見た。
薬を飲んでいないせいで、呪いが完全になりつつある。
スイレンとハルの体と一体化してしまうということは、つまり、片方が傷を負えば、その痛みをもう片方が共有することとなる。
そして、その痛みは本物として体にダメージを与え、致命傷を受ければ、両方死ぬ可能性が出てくる。
(まだハルの自己修復が機能してるってことは、まだ大丈夫ってことだよね・・・)
けれども、あまり時間がないことを感じたスイレンは、焦っていた。
スイレンがいろいろ考えている間にも、ハルは攻撃の手を緩めることなく、次々と仕掛けてくる。
この状況で一番の最善策を考えていたけれども、スイレンの脳裏にはハルの言葉がちらついて離れなかった。
スイレンから攻撃はしたものの、どれも致命傷には至らないもので、結局大勢の仲間がこの場に駆けつけるまで、スイレンとハルの戦いに進展は見られなかった。