第43章 対峙
明らかに実力の差があった。
けれども、どれほど恐れおののこうとも、彼らは逃げるわけにはいかなかった。
自分達の世界を、家族を守るため、ここでこの女を殺さなければならない。
だから、ここで自分が死のうとも、自分の死は決して無駄じゃないはずだ。
「ッ怯むな!増援が来るまで持ちこたえるんだ!」
誰かが叫ぶ。
その声で奮い立たされたのか、彼らは続々と彼女に攻撃を仕掛けた。
―――けれども、ある異変に気づいた。
「・・・なんで、こんなにやってるのに・・・アイツ、傷ひとつつかないんだ?」
攻撃は避けられるものも多かったが、当たったものだってあったはずだ。
けれども、彼女が傷ついている様子は見られないし、痛がっている素振りも見受けられない。
「まさか、アイツ・・・」
一人の忍が呟いたところで、それは確信に変わる。
誰かが投げたクナイが、彼女の頬を掠めた。
血が滲み、そして、消える。
「本部に報告!女は穢土転生者と同じ、攻撃が通用しません!繰り返す!本部に報告――!」
一方、サスケは水月と重吾の二人と再会したあと、カブトに捕まっていたアンコの呪印を利用し、大蛇丸を復活させた。
甦った大蛇丸は舐めるように三人を見たあと、フフッと小さく笑った。
そして、サスケの真実を知りたいという望みを叶えるべく、大蛇丸が協力してくれることとなり、一同は木ノ葉にある、うちはの集会場に足を運んでいた。
地下なので薄暗く、少し寒い。
それを気にもしていない様子のサスケと大蛇丸の声がその場に響いていた。
「それにしてもサスケくん・・・あなたの妹、大変なことに巻き込まれてるわね」
「お前には関係ない」
「そうね。でもあなたは、うちはハルが隠してた秘密を知らないんじゃない?」
「馴れ馴れしく妹の名を口にするな」
「・・・あいかわらずね」
いつもの乱暴な口調のサスケに、大蛇丸が小さく笑う。
大蛇丸が初代、二代目、三代目を復活させるため、飾ってある面から本物を選んでいると、階段を下りてくる音がした。