第4章 弱いものいじめ。
「・・・この俺を無視するたぁ、いい度胸じゃねえか。・・・ん?おいおい、ソイツは置いて帰れよ?」
「・・・・・・あなたがこれを?」
鬼鮫が何も言わないイタチの代わりに男に問う。
「ん?ああ、そうだ。傑作だろ?俺はコイツのせいで人生駄目になったんだ。ちょっとぐらいいいだろうが」
「・・・・・・お前、」
男の顔が見えたイタチが、ポツリと零す。
「なァ?・・・ってお前、よく見たら、あん時のガキじゃねえか!何だ?コイツを助けに来たってか?」
「・・・・・・・・・」
「ハハッ!ご苦労さまで。しっかし、笑えるよなァ?天下のうちは様がこんなザマ。やっぱ、うちはでもガキはガキだ。弱っちィ」
「・・・・お前、」
ふざけるな。
そう言って、イタチが凍りつくほどの殺気を放った。
それによって、さっきまで余裕そうだった男の顔色にも変化が見られる。
不意に、鬼鮫がイタチさん、と呼んだ。
「・・・・・何だ」
「私がこの男を処分しておくので、あなたは先にその子の治療を優先したらどうですか」
「・・・・・・・何を企んでる」
「いえ、何も企んでなんかいませんよ。――――ただ、私としても弱い者いじめは好きじゃないんですよねぇ」
「・・・・・・・・」
「まあ、すぐに追いつきますよ。コイツの相手なんて一分もあれば終わりますから」
文字通り、鬼鮫はすぐに追いついてきた。
「・・・・大丈夫なんですかねぇ」
「・・・・・・・・・・あの男は」
イタチはハルを腕に抱え、アジトへと戻っている途中だった。
「ああ、あれはすぐに片がつきましたよ。全く、手応えもありゃしない。鮫肌も退屈そうでした」
「・・・そうか」
イタチはそこまで言って、黙った。
「・・・その子は?」
「・・・いずれわかる」
イタチはとりあえず、小南にみてもらおうと考えていた。