第4章 弱いものいじめ。
イタチの目の前には何故か鬼鮫がいた。
干柿鬼鮫。
霧隠れでは「尾のない尾獣」と呼ばれている。
「・・・・・何故お前がここにいる」
「いやあ、何ででしょうかねぇ」
「・・・お前と話している暇はないんだ。用がないのなら俺は行かせてもらう」
「まぁまぁ。――――いえ、ペインさんから頼まれたんですよ」
「・・・ペインから?」
「ええ。あなたについていってほしいと」
正直、今のイタチには余裕がなかった。
目的の場所はすぐそこなのに、行けれない。
「・・・・・勝手にしろ」
(この際、どうでもいい)
「ありがとうございます。まあ、どちらにせよ行かなきゃいけないんですけどね」
イタチらが足を踏み入れたのは、小さな洞窟のようだった。
(ここから確かに、ハルのチャクラを感じる)
目を凝らすと、何かが横たわっているのが分かった。
近づくと、その”何か”が何か分かった。
それをイタチは腕に抱きあげる。
「・・・・ハル」
目の前に倒れているのは、妹。
所々痣ができて、変色している。
意識はなく、グッタリしている。
「・・・・酷いですねぇ」
鬼鮫がポツリと言った。
―――――何より一番目を引くのは、
「・・・血が、」
身体中にある、いくつもの切り傷。
赤い血が、ハルの白い肌を濡らしている。
イタチの脳裏にはあのときのことが鮮明に思い出されていた。
すると、出口の光が遮られ、人影が出来た。
「ああ?誰だテメエら・・・」
「・・・・・・・・・」