第42章 開戦
結界を破り、しばらく走り続けると、二つの見覚えのある姿が前方に見えた。
「・・・ナルト?」
「―――イタチと、長門・・・?」
死んだはずの二人。
「穢土転生とかいう術ですよね。・・・お久しぶりです、イタチさん・・・と、リーダー・・・ですか?こうしてお会いするのは初めてですね」
「鬼鮫か。久しぶり・・・と言いたいんだが、なぜお前がここにいる?」
「ハルさんを取り戻すために彼を守ることにしたんですよ」
「ハル・・・?おい、どういう―――」
イタチが言いかけた瞬間、彼の手が印を結んだ。
発動したのは火遁・豪火球の術で、対抗したのは鬼鮫だった。
鮫肌を振るい、術に練りこんであるチャクラの一部を吸い取る。
「っぶねー・・・サンキュ、鬼鮫!」
「礼を言うなら早く動いてもらえます?」
「ナルト、上だ」
「わかってるってばよ!」
イタチと長門の体は自分の意志とは関係なく動く。
しばらく戦闘を続けていると、長門がイタチを呼んだ。
「イタチ!」
「なんだ」
「ハルのチャクラを感じる・・・もう近い」
その言葉に、全員が反応した。
その直後、後方からクナイが飛んできた。
「!?」
ビーが腕だけ尾獣化させ、それらをすべて受け止める。
「イテッ」と小さくこぼすビーの前に、いつの間にか刀を振りかぶった少女がいた。
「おっちゃん!」
キィイイン!という鈍い金属音を響かせ、クナイで刃を受け止めたのはスイレンだった。
その瞬間、スイレンは目を見開いた。
「・・・ハ、ル・・・?」
いったん距離を置き、それぞれが姿勢を持ち直すが、スイレンの手はわずかに震えていた。
目元を隠すように包帯が巻かれている。
着ている服はあの面の男が着ているものと同じだった。
「ハル・・・なのか?」
イタチがナルトと戦いながら、確かめるように問い掛ける。
しかし彼女が反応することはなく、ためらう素振りも見せずにイタチごとナルトを斬ろうとした。
「!? ハル―――」
「クロからは何も感じねえ!どういうことだ?・・・これじゃまるで、操られてるみたいだ」
「“みたい”じゃなくて、そうなんだよ!ハルお願い、目を覚まして!!」
スイレンが懇願するような声色でハルに呼びかける。
けれども、今の彼女には聞こえていなかった。