第4章 弱いものいじめ。
男は気が済んだのか、鼻歌を歌いながらどこかに行った。
殴られたところが熱を持ち、腫れてきている気がする。
「・・・・イタチ、兄さん・・・」
お願い。はやく気付いて。助けに来て。
今の私に出来るのはただ祈るだけだった。
「オイ、起きろ」
バシャ、という音がして私の身体に水がかかる。
「誰が寝ていいっつったよ?オイコラ聞いてんのか!?」
また殴られる。
また蹴られる。
何度も何度も。
「チッ!!つまんねえなァ・・・。お前、天下のうちは様だろうが!!もっと俺を楽しませろよ。まァ、ガキには無理か?ッハ!!哀れだなあ、テメエ」
(寒い、痛い、痛い)
朦朧とする意識の中で私の頭の中はそれしかなかった。
早く温まりたい。こんな場所嫌だ。
抵抗する気もなく、なされるがまま。
「おい、だからさっきから言ってんだろ?もっと俺を楽しませろって。―――――おい、お前。これが何か分かるか?」
うっすらぼやけて見える視界に映ったのは。
「―――――懐かしいだろ?あのとき、お前を殺し損ねた、」
クナイ。
鋭く尖り、光るクナイ。
「今度は外さないぜ?――――ああ、でも、安心しろ。すぐには死なせねえよ。すぐに逝っちまったらつまんねえからな」
(・・・イカれてる)
未だはっきりとしない意識の中、それだけは確実に分かった。