第41章 スイレンの覚悟
―――戦争が始まるにあたり、ナルトは雲隠れが古くから所有している島亀へと連れてこられた。
その島亀には八尾の人柱力・キラービーもいる。
戦争の間は八尾と九尾を安全な所へ隠しておこうというのが上層部の見解だった。
「ねえアンタ、なんでそれ持ってるの」
「鮫肌か?オレとブラザーで倒したヤツの物だ」
「・・・そう」
ビーをアンタ呼びしたスイレンは静かだった。
ナルトの護衛にはヤマトとスイレンが抜擢され、同行することとなった。
真実の滝をクリアし、無事九尾のチャクラをコントロールする糸口を掴むことに成功したナルトは、外に足を踏み出した。
「おめでとう、ナルト」
「サンキュ、ヤマト隊長。オレってば、やっぱやればできるんだな。ビーのおっちゃんもありがと。おっちゃんがいなきゃ、オレヤバかったってばよ」
「礼ならいらねーよ。お前が頑張った証拠だ」
「ヘヘッ・・・ありがと」
「ちょっと見せてよ。どんなものか知りたい」
「いいってばよ」
スイレンの言葉にナルトは「よっ」というような声を出したあと、九尾のチャクラを体に纏った。
「なるほど・・・すごいね」
「だろ?」
誇らしげなナルトだったが、何かに気が付いたのかキョロキョロと辺りを見渡した。
周りがその様子を見守っていると、ナルトの視線はビーが背負っている鮫肌へと向けられた。
「おっちゃん、それ・・・」
「どうかしたか?」
「そこからいやなものを感じるってばよ・・・!おっちゃん、それ離せ!!」
ナルトが声を荒げた瞬間、鮫肌から何かが出てきた。
「・・・お前は・・・!」
「九尾のチャクラをコントロールする、ですか・・・思い切りましたね・・・!」
姿を現したのは鬼鮫だった。
「生きていたのか!?」
全員が戦闘態勢に入る前に、鬼鮫はいち早く逃げだした。
スイレンが驚いたような表情のままでいたが、彼はスイレンがいることに気づくことはなく、そのまま奥へと走り出した。
「アイツ・・・何でここに、ていうか生きて・・・」
「スイレン、何してる!?行くぞ!」
「・・・わかってる」