第41章 スイレンの覚悟
スイレンは少し笑ったあと、小さくため息をついた。
「戦争が始まる以上はさ、たとえお前が覚悟を決められなくたって、お前は逃げられないんだ。早いとこ腹括っておかないと、あとが苦しいんじゃない?」
「・・・」
「―――とか言ってるけど、実のところ僕も同じ。頭の中ではちゃんと覚悟決めてるつもりだけどさ、気持ちが頷いてくれないんだよ。・・・そりゃ僕だって怖いよ。ハルを目の前にして、冷静でいられるのかなって、ずっと考えてる」
「・・・」
「お前に死ぬ覚悟までしろとは言ってない。・・・ただ、そのくらいの覚悟がないと僕は苦しいってだけで」
目を伏せたスイレンは、静かに呟いた。
「・・・そうだな」
吐き出した言葉とともに、空を仰ぐ。
開戦の足音はしだいに近づいてきていた。
カカシは静かに、死ぬ覚悟をした。
―――一方ナルトは大ガマ仙人の予言を聞くため、妙木山にいた。
「それからお前は眼に力を宿している少年と戦う事になる・・そして」
「ああ・・わかってる」
「わかってるとはどういうことじゃ お主・・・見えたのか?」
「ああ」
「あの眼に力を宿した少年・・・あやつが何者であるか分かったと・・・?」
「うん・・全部覚悟してる」
大ガマ仙人の予言を聞いたナルトは、冷静だった。
「わかってる」と決意のこもった目が、大ガマ仙人を見返していた。
「・・・そうか。では、もう一つ」
「・・・?」
「深い悲しみを持つ少女・・・お前を光へと導いたその子は、きっと、お前に救われるはずじゃ」
「! じゃあ・・・オレは、クロを救えるのか?」
「少なくともワシにはそう見えた。・・・ま、これからどうなるかはお前次第じゃがな・・・」
「でもじーちゃんの予言って外れたことないんだろ?」
「まあな」
大ガマ仙人は少し笑いながら、ナルトを見下ろした。
「決して諦めるでないぞ」
「おう!」
「ナルトちゃんよ、九尾の封印についてじゃがの・・・」
どれだけ嫌がっても、戦争は始まる。
サスケとの戦いのためにも九尾をどうにかすることが今のナルトの課題だった。
少しでも強くならなくてはならない。
強くなきゃ、だれも救えない。