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うちはに転生しました。

第41章 スイレンの覚悟




その言葉を敢えて口にしないのは、きっとスイレンが耐えられないから。

本当は誰よりもハルのことを心配して、夜も眠れないはずなのに、あの子との約束だけを想って今もこうして前を向いている。


「・・・本来生まれるはずのなかったハルが生まれたことで、生じた世界の歪みがこの僕だ。だから、ハルを殺すということは、僕を殺すということ。・・・うん、お前たちはわからないだろうね。でもわからなくていいよ。これは、僕とハルの問題だから」

「・・・お前、どうしてそこまで・・・」

「理由なんてないよ。でも敢えて言うなら・・・僕が、ハルのことが大好きだから、かな。ハルがどういう人間かを知っているからこそ、僕は自分ができることをする」


スイレンはどこか寂しそうな表情で笑う。

けれども、その目には固い決意が見えた。


(ああ、これが・・・お前の“覚悟”か)


その覚悟は何よりも強い意志で、きっと触れてしまえばいとも容易く崩れてしまいそうな、儚くて脆いのだろう。

それはまるで、彼女の存在のよう。

カカシは記憶の中の彼女を思い出しながら、目線を上げた。


「・・・そうか。お前は、強いんだな」

「強くないから、こんなことしかできないんだよ。・・・本当に強いなら、もっといい選択ができてる」

「主様・・・」

「で、今日来た理由なんだけど。・・・ネネ、これを預かっててくれないかな」


スイレンがいつかと同じようにゴソゴソとポケットから何かを取り出す。


「これは、ハルの宝物。イタチから貰った本と、写真。戦争が終わって、もし僕とハルが帰ってこなかったら・・・“うちはサスケ”に渡して」

「・・・主様、帰ってけぇへんの?」

「約束はできないな。ほら、受け取って。・・・そんな顔してないで、自分の身を守ることだけ考えてなよ。お前は強い子だから、僕がいなくても生きていける。・・・よね?」


ネネの目が大きく見開かれて眉が下げたあと、小さく唇を噛んだ。

握られた手に力が込められる。

慈愛の含んだ笑みを向けられたネネは、やがてゆっくりとスイレンの手を離すと、ポロリ、と涙をこぼした。


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