第40章 クロとハル
(―――意外と・・・しっくりくるものだな)
ナルトたちと対峙した後、サスケは面の男のアジトにいた。
自分の眼が光を失っていくのを感じ、サスケはイタチの眼を移植していた。
ある程度馴染むまで、サスケは戦いに出るつもりはなかった。
それがあの男の命令だったし、何より、妹のことが気掛かりだった。
だが、ずっとこうしているつもりもなくもう少ししたら出るつもりだ。
“おい、妹をどうするつもりだ”
“安心しろ、殺しはしない。だが、役に立ってもらう。なに、悪いようにはしないさ”
“なんだと・・・?”
“お前も妙な気を起こさないようにな。じゃ、しっかり休めよ”
妹はまだ生きている。
あの男の口調からすればそうだろうが、でも、間違いなく何か悪いことに巻き込まれている。
(一刻でも早くここを出て、ハルを探す。あの男ことだ、きっとうちはの力を利用して何かしようとしているに違いない)
でも、まだだ。
まだ行けない。
この眼がオレのものになるまで、まだ時間がかかる。
(もう少し待っていてくれ)
五影会談にて第四次忍界大戦を宣言したオビトはカブトと共に新たなアジトにいた。
穢土転生の術を戦争で使おうとしているカブトを仲間として認めることとしたが、信頼したわけではなかった。
「ねえ、キミの手札を教えてよ。ボクは言ったんだし、キミだけ勿体ぶるのはフェアじゃないと思うけどね」
「・・・そうだな。いいだろう」
「あ、言っておくけどボクのはあの穢土転生だけだからね。他に何も隠していないよ・・・って言ってもまだ信用してくれないか。残念」
ひょいと首をすくめてみせるが、その表情はまったく残念そうではない。
オビトは興味がないようにカブトを見向きもせず、外へと足を向ける。
カブトがついて行くと、オビトは時空間の中から一人の少女を出した。
黒い髪が揺れ、少女が立ち上がる。
目を覆うように包帯が巻かれていて、その目の色までは確認できなかった。
「へえ・・・キミそんな趣味あったんだ」
目を細めて茶化すようにカブトが言う。
興味深そうに見ながら、少女の周りをゆっくりと歩いて、それからオビトの方に視線を寄越した。