第39章 あなたのこと
ダンゾウを前にして、サスケの体は震えていた。
ただし、それは恐怖によるものではく、歓喜によるものだった。
「やっと・・・やっと一族の仇が打てる!お前をイタチに会わせてやるよ」
「イタチに会うのはお前だ」
サスケはニヤリと口角を上げ、戦いに身を投じた。
「・・・」
ふと目を覚ますと、私は知らない場所にいた。
「どこ、ここ・・・」
(さっきまで熱出してて、スイレンたちに看病してもらって、そしたらオビトが来て・・・私、幻術にかけられてるのかな)
ここが現実じゃないことは察していた。
辺りを見渡しても何もなくて、ただ白い世界が続いているだけだった。
「解」
(・・・?)
「幻術じゃないのか・・・」
すると、後ろから私の名前を呼ぶ声がした。
「―――ハル!」
「・・・!」
「ハルったら、何してるの?そんなところに立ってないで、こっち来なさい。もうすぐ晩ご飯よ」
「か・・・母、さん」
ふと気がついた私が立っていたのは、昔の家の庭だった。
縁側には父がいて、少し笑みを浮かべて私を見ている。
「・・・母さんのご飯が冷めてしまうぞ。早く入ろう」
(っ・・・)
背中に冷たいものが走った瞬間、ポンポンと肩を叩かれた。
振り返ると、そこにいたのは彼らだった。
「おい、どけ。傀儡の手入れができねーだろーが」
「大丈夫だって旦那!旦那の傀儡はもう錆びてるって―――痛ェ!髪引っ張んなよ!」
「ギャハハハ!デイダラちゃんの髪抜けてるぜ!見ろよ角都!」
「自業自得というやつだな。ああ、そういえば飛段、鬼鮫がお前を呼んでいたぞ。またつまみ食いしたのか?」
「あー、もうバレたか。言っとくけどオレだけじゃ―――」
「いい加減にしなさい。あなたには反省の色が見られないんですよ」
「げっ・・・もういたのかよ。ちょっと、小南姐さんからも何か言ってくれよ」
「知らないわよ。飛段、そんな目をしてペインに頼っても無駄よ」
振り返れば、懐かしい景色が広がっていた。
先ほど見た両親の姿はなく、暁のメンバーの日常がそこにあった。