第39章 あなたのこと
「分身だな」
「はい。ごめん、ナルト。どうしてもキミに伝えておきたくて・・・さっきサクラが言おうとしてたことと、これからサクラがしようとすることを」
「・・・サクラちゃん、何かすんのか?」
「ああ」
それからサイは、サクラがナルトの重荷を解こうとしていること、そして、サクラがサスケを探していることを言った。
「重荷って・・・もしかして、あの時のことを言ってんのか?でも、サスケを探してどうすんだってばよ?」
「きっとサクラは・・・」
「サスケを殺すつもりだな」
その言葉がカカシによって口にされた瞬間、ナルトは少しの間目を見開き固まっていた。
「・・・は?サクラちゃんが・・・?」
「ナルト、お前はヤマトといっしょに里に戻れ。クロのこともあるし、オレたちが考えなきゃいけないことはたくさんある。・・・ヤマト、スイレンを保護という名目で里に連れて帰れ」
「はい」
「オレはとりあえずサクラを追う。サイ、案内しろ」
「わかりました」
カカシは最後にナルトをチラリと見たが何も言わず、サイと共に去ってしまった。
その場に残されたナルトの頭の中はぐちゃぐちゃだった。
脳裏によぎるのは面の男が話したイタチの真実。
サスケの朽ちることのない復讐心。
そして、連れ去られたクロ。
(オレってば・・・何を、どうすりゃいいんだ・・・?)
ぐるぐると疑問が頭の中を埋め尽くして、ナルトは胸の辺りがグッと苦しくなった。
すると、どんどん呼吸がしんどくなっていって、ナルトは荒い息のまま雪の上に倒れこんだ。
「ナルト!?」
『過呼吸だ!おい、ゆっくり息を吐け・・・落ち着くんだ』
「ハアッ、ハアッ・・・・」
苦しさの中に誰かの声を聞いた気がした。
“ナルトくん”
それは、いつものクロの声だった。
幻聴だとわかっていても、ナルトは思わず手をのばした。
(なんで、お前まで・・・)