第39章 あなたのこと
「―――おい!!」
のばした手は空を切る。
その場に残されたナルトたちは、ただ茫然と立ち尽くしていた。
「ッ行かねーと・・・!!」
「待てナルト!」
「クロが連れ去られたんだ、じっとしてられっかよ!・・・おいスイレン!お前も何とか言えよ。お前にとってクロは、何よりも大切なんじゃなかったのかよ!?」
『うるさい!!お前が知ったようにベラベラ話すな、鬱陶しい!・・・いいか、お前は行かせない。これはクロの意志だ』
「は・・・?じゃあお前は・・・お前は、アイツがどうなってもいいってのかよ?」
『そんなわけないだろ。僕には・・・僕にはハルしかいないのに・・・』
スイレンの声は震えていて、ナルトはぐっと唇を噛み、俯いた。
そこで騒動を聞きつけた宿の主が駆け込んできて、「これだから忍は!」とヤマトに怒っていたが、彼の木遁によって崩壊した宿はすぐに修復した。
それからすぐに話し合いを始めようとすると、いくつかの気配を感じ、ナルトが振り返った。
「ナルト」
「・・・サクラちゃん」
「どうしたの?そんな怖い顔して・・・何かあった?」
ただならぬ気配を感じとったのか、サクラや、後ろにいたリー、キバ、サイの表情が強ばった。
「・・・カカシ先生、何かあったんですか?」
「いーや、別に。それよりお前たち、こんなところでどうした?何か用か?」
「あ・・・」
カカシがそう聞くとサクラは数秒間悩む素振りを見せたが、顔をあげると首を横にふった。
「いえ、何でもありません。ナルトが元気かなって心配になって」
「おい、サクラ・・・」
「キバは黙ってて!・・・お取り込み中みたいだし、また出直します。それじゃ、リーさん、サイ、キバ、行くわよ!」
「はい!」
活発な返事をしたリーに続いて何か言いたげな表情をしているキバが歩き出し、無表情のまま去るサイがこっそり分身を置いて、彼らはその場を去った。
結局何をしに来たのかわからないでいると、影からサイの分身が姿を現した。