第39章 あなたのこと
『いろいろ事情があったんだよ、こっちにも。本当はクロだって、お前に会いに行きたかったもしれないけど・・・』
「・・・何かあったのか?」
『僕の口からじゃ話せない。この子の許可がなくちゃ・・・』
「言えない事情でもあるのか?」
『・・・さあね』
答える気のなさそうなスイレンにナルトは少しムッとした表情をしたが、クロが小さく身じろぎをし目を開けると、すぐにそちらへ意識を向けた。
「クロ!気が付いたのか!」
「・・・ナルトくん・・・?」
「おう。ヤマト隊長、見てやってくんねーか」
「わかった」
状況を把握しきれていないクロにヤマトが近づき、手をおでこにあてる。
それから脈を測ったりなどしていると、ふいにクロがスイレンへと手をのばした。
「どういうつもりなの、って言いたいけど、やめとく。・・・ありがとう、ごめんね・・・スイレンには迷惑かけてばっかり」
『ううん。僕はキミが一番大切だから・・・迷惑だなんて思ってない』
「ん・・・アンタも物好きね・・・」
スイレンがその手を握ると、クロは少しだけ笑った。
「カカシさん、ヤマトさん、ナルトくん・・・ごめんね、迷惑かけて。すぐ出ていくから」
「見るからに大丈夫じゃないよね、お前。いいよ、オレたちそこまでひどくないからさ」
「ボクもカカシ先輩に同意かな。こんな状態のキミを追い出すなんて、ナルトが許すはずないだろうからね」
そう言うとクロは困ったように笑い、それから「ありがとう」と言った。
「今回ばかりは本当に弱ってるみたいだな、クロ」
「ハハ・・・返す言葉もないです」
そこでクロが外を見やる。
雪が降っていることに気が付くと、しばらくボーッとして、それから目を閉じた。
「・・・クロ?」
「・・・寝たか。ま、具合悪いんじゃ仕方ないね」
クロが眠りについても、スイレンとナルトはその場から離れようとしなかった。
そして、彼女が目を覚ましたのは次の日のことだった。