第39章 あなたのこと

―――そして、その男はやって来た。


「やはりここにいたか・・・小南。素直に輪廻眼・・・長門の隠し場所を教える気はないようだな」

「あなたが私の前に来ることはわかってた。待っていたわ・・・あなたを仕留めるために」

「かつての仲間だといって手加減はしない・・・それと輪廻眼だけではなく聞きたいこともあるしな」

「あの子は渡さない」

「フッ・・・わかっているようなら話は早い。予定が狂って、輪廻眼を手に入れるのが早まったが・・・まあいい。お前を捕まえさえすれば、オレの欲しいものは手に入る」

「・・・私があの世へ連れて行く。長門にもハルにも、手出しはさせない！」


ハルに気づかれればマズイ。

あの子は間違いなく私を守ろうとする。

そして、この男の狙いはあの子にもある。


―――だが、その時。

マダラが視線を横へ移した。


「・・・？」


嫌な予感がして、バッと振り返る。

そこには、彼女がいた。


「・・・ハル・・・」

「フン・・・自ら出てくるとは危機感のないヤツだ」

「ハル！逃げなさい！！」

「ッ、ダメ、私は・・・私は小南ちゃんに死んでほしくない！絶対・・・守るって決めた！」


そう言うとハルは小南の前に立ち、戦闘態勢に入った。


「あなたに長門さんは渡さない」
　









「・・・ハル、どうして・・・！逃げなさい！あなたが出てくるところじゃないわ！」

「小南ちゃん、ごめんね。今までずっと・・・いい子ぶってたけど、私、全然いい子なんかじゃない。みんなのこと見殺しにするような最低な人間なんだよ」

「・・・！」

「でもね、こんな最低な私でも思っちゃったの。もう、大切な人を失いたくないって。・・・バカだよね、私。でも思っちゃったんだよ、仕方ないよね」

「ハル・・・」

「だからさ、小南ちゃん。小南ちゃんの言うことは聞けないや」


そう言うと私は、オビトに向かって天照を発動した。


「・・・ぐっ・・・またか・・・」


オビトが一度時空間内へ逃げる。

その隙に私は小南の手を取り、駆け出した。


「ハル、一体どういう・・・！」

「来て！お願い・・・！小南ちゃんじゃアイツには勝てないの！」

「・・・」