第38章 わたしは
「―――外道・輪廻転生の術」
長門がその術を使用したことで、木ノ葉の死者の魂は元に戻された。
そしてそれと引き換えに長門は死に、小南は暁を抜ける決意をした。
小南が弥彦と長門の遺体を紙で包み終えると、ナルトが小南に問うた。
「お前はどうすんだ?もう暁に戻るとは思いたくねーけど・・・」
「暁は抜ける。私にとっては弥彦と長門が全てだった。長門がお前を信じたなら、私はお前を信じる。私たち雨隠れはお前と共に二人の夢を追いかけることにしよう」
「・・・わかった」
「一つだけ・・・聞かせてくれ」
「なんだ?」
「・・・長門が刺したあの少女・・・」
「クロのことか。・・・アイツとは小っせェ頃からの付き合いなんだ」
「“クロ”・・・そうなのか」
小南は少しの間考え込んでいたが、顔を上げると、手を前にやった。
すると紙が集まり、紙の花束ができた。
「今度こそ・・・お前は散ることのない希望の花であってくれ」
ナルトは花束を受け取ると、決意に満ちた表情で頷いた。
ナルトと別れた後、小南が向かったのはアジトだった。
足早に部屋に行き、ノックもせずにドアを開ける。
そこには白い髪の女性とベッドの上で眠っているハルの姿があった。
「・・・あなた確か、“スイレン”だったわよね」
『そうだけど・・・何?用がないなら出て行ってよ』
「そうもいかない。ハルにはいろいろ聞きたいことがあるけど、今はそんな時間はない。・・・ここを出るわよ」
『は?・・・待ってよ、そんなの僕に言われても困るんだけど』
「このまま暁にいても、この子はいいように使われるだけ・・・だから何としてもこの子だけは守るわ。だからあなたも協力して」
その言葉に怪訝な表情を浮かべていたスイレンだったが、ややあって『わかった』と言うとハルを抱き上げ、部屋をぐるりと一周見渡した。
そして机の上に置いてあった一冊の本を手に取ると、部屋を後にした。