第38章 わたしは
―――そして、ついにその日はやって来た。
突如、激しい揺れと地響きがし、その後何かの叫び声のようなものが里を襲った。
「紅さん!」
「クロ・・・大丈夫!?これは一体・・・」
「クロ、オレは外を見てくる。紅を頼んだぞ」
「待ってください、私も行きます!紅さんはスイレンに任せるんで、安心してください。・・・スイレン、紅さんを安全なところへ連れて行って」
『え!?・・・でも、』
「スイレン、“来た”の。だから、頼んだよ。・・・アンタのこと、信用してるからね」
『・・・わかったよ』
半ば強引にスイレンに約束をさせると、スイレンは人型になり『絶対追いつくから』と言った。
強気な言葉のわりに、その表情は不安そうだった。
「・・・何て顔してんのよ」
いつもより少し雑に頭を撫でてアスマに続いて外に出た。
「一体・・・どうなってるんだ!?」
屋根に上った私たちが見た景色は、半壊の里だった。
そして視線は自然と里を壊しているモノへと向けられる。
巨大な口寄せ獣。
そして術者らしき人物が着ている暁の衣。
「暁・・・」
(・・・ペインさん。小南ちゃん)
「私たちも行きましょう、アスマさん」
「ああ」
(裏切ってごめんなさい)
被害はひどいものだった。
建物はほぼ全滅、目立つもので残っているのは、火影室のある建物くらいだった。
辺りに避難し遅れた人がいないか注意しながら、アスマとは別行動で動いていると、少し離れたところに人の姿が見えた。
その瞬間、隠れなければいけないのも忘れて、私は足を止めた。
紫色の髪。 暁の衣。
そして―――見たことのないような、冷たい瞳。
「こ・・・なん、ちゃん・・・?」
口からこぼれた瞬間、ハッと口を抑え、瓦礫の後ろに隠れた。
「うずまきナルトはどこだ?」
「・・・ハッ・・・知らねえな・・・」
「・・・答えないのなら用はない。死ね」
ナルトの居場所を吐かせるためか、木ノ葉の忍を捕まえては問い、言わなければ窒息させ殺していた。
「次は・・・」
心臓が鷲掴みにされているように痛い。
何とか落ち着こうとした。
そして、前を向いた瞬間。
「―――お前だ」
「・・・!!」
目の前には、彼女がいた。