第38章 わたしは
分身を出しアジトへ帰らせると、私はさっそく行動を開始した。
「カカシはどこかな・・・」
木ノ葉中を歩き回って、彼を見つけたのは木ノ葉病院の前だった。
女性と話している。
(彼女?)
「スイレン、お邪魔みたいだから出直そう」
スイレンとそう言っていると、カカシがこちらに気づき、つられるように女性もこちらを向いた。
(・・・あれ)
「クロ、お前こんなところで何してるんだ?」
「びっくりしました。カカシさん、彼女できたのかと」
「やめてよ、オレがアスマに殺されるんだけど」
女性の正体は、紅だった。
紅は「久しぶりね、クロ」と言って私に笑いかけた。
「紅さん、なんか母性を感じます・・・」
「あら、そう?」
病院から出てきたらしい彼女のおなかは、大きくなっていた。
一人の母親であることを感じさせる表情は、どこか母を思い出させた。
「おめでとうございます」と伝えると彼女は「ありがとう」と笑った。
「で、どうした?お前何か用があるのか?」
「あ、はい。カカシさんに」
「オレに?」
「カカシさん、しばらく泊まらせてください。お願いします、野宿は嫌なんですー」
「・・・は?」
きょとんとした顔をしている二人に笑顔を見せると、先に我に返ったのはカカシだった。
「何かあったのか?」
「家出です。ただ今晩の宿を探しているんですよー。カカシさん、ダメですか?」
「え、嫌だよ。変態って勘違いされるのはオレじゃない」
「ナルトくんは明日からいないって言うし、サクラちゃんはご両親がいらっしゃるでしょ?だから、頼むにはカカシさんしかいないかなって」
「ええー・・・」
カカシが悩む素振りを見せていると、紅が私の肩に手を置いた。
「ダメよ、年頃の女の子が男の家に泊まるなんて。カカシのところに行くくらいなら、うち来なさい。アスマもオッケーしてくれるわ」
「えっ」
「い、いや、紅さんは妊婦さんですし・・・」
「あなたとは話したいこともあるしね。さ、帰るわよ」
「ちょっ・・・えっ?」
まさかの紅が泊めてくれることになったものの、妊婦の家に押し掛ける迷惑な自分がどうにも恥ずかしくなって、何度も辞退しようと試みたが、結局うまい具合に丸め込まれ、紅の家にお世話になることとなった。