第38章 わたしは
「・・・キミって変な人だよね。でもありがとう。すごく嬉しいよ」
「お前はオレの最初の友達だ。オレは何があってもお前のこと信じるって決めてんだ。そうでもしねーとお前、悪者ぶるだろ」
「・・・悪者ぶる?」
「ああ。お前、ちょっと意地悪だし、オレより頭いいし、すげー強いし、何考えてるかわかんねーけど、でもお前、優しいってばよ。お前みたいなヤツ性格悪いっていうのかもしんねーけど、でもお前、悪いヤツじゃないだろ」
ポカン、としばらく呆然としていると、隣のスイレンから『良かったね』と優しい声が聞こえてきた。
『僕もナルトに同感だよ。キミって責任感が強すぎるところがあるからさ』
「・・・ありがとう、ナルトくん、スイレン。私は幸せ者だよ、本当。こんなに素敵な友達がいるんだもん」
「おう!」
「その調子でサスケのことお願いね、ナルトくん。私の大切な人なの。サスケには一番幸せになってほしいんだよ」
「サクラちゃんもだけど、クロってば昔っからサスケのこと大好きだよな」
「そうだね。ナルトくんだって同じでしょ?」
「当たり前だってばよ!」
サスケはナルトに任せておけば十分だろう。
最初からわかっていたはずなのに、今さらそう思うのは、私が心のどこかで彼を信じきれていなかったからなのかもしれない。
(・・・バカだな、私。全部自分で何とかしなきゃって思って、何もできなくて・・・でも、全部自分で何とかできるわけないよね)
「今日は話せてよかった。ナルトくん、頑張ってね」
「おう」
手をふり、ナルトと別れる。
それから私はこれからのことを考えることにした。
(小南ちゃんには悪いけど、しばらく木ノ葉にいよう。いつ里を襲撃してくるかわからないから、分身をアジトに帰らせて本体はここにいよう・・・そうだな、カカシあたりに頼んで世話になろう)
「スイレン、私、今日帰らない。しばらくここにいることにするよ」
『えっ?でも、小南に言われたんじゃ・・・』
「だから分身を帰らせるよ。スイレンはどうする?」
『キミがここにいるなら僕もそうするよ。・・・何かあるの?』
「うん、まあ」