第38章 わたしは
久しぶりに木ノ葉へ行くと、相変わらず賑やかな里だと改めて印象付けられた。
ナルトやサクラの姿が頭に浮かんで、会いたいという気持ちが私の中にあった。
(・・・そういえば、自来也はまだ生きているのかな)
今まで自分のことしか考えていなかったから視野が狭くなっていたけれど、小南とペインはもう、師である自来也を殺してしまったのだろうか。
もしそうなっているのならば、近々ペインたちがナルトを狙って木ノ葉を襲いに来る。
あっという間に流れる時間に置いて行かれそうになっていた。
(もうすぐそこだ。・・・もし私が木ノ葉にいるって知ったら、どう思うんだろうな)
もう家族同然のあの二人を裏切ることになっても、私は木ノ葉を守りたいと思う。
(・・・でも、できるなら裏切りたくない・・・)
ボーッとしながら歩いていると、後ろから声を掛けられ、私は立ち止まり振り返った。
「やっぱりクロだ。・・・久しぶりだってばよ」
「あ、ナルトくん・・・久しぶり」
「ちょっと話さねーか?いろいろ言いたいこともあるし」
ナルトはいつもより静かに笑い、私の隣に並んで歩き始めた。
(・・・そっか。自来也は死んだのか)
ナルトの雰囲気がいつもと違う。
察しただけなので気の利いたような言葉も口にすることができず、私はただナルトのその横顔を黙って見ることしかできなかった。
二人で広場のベンチに腰を下ろすと、しばらく間を置いてナルトが言った。
「―――クロ、お前今まで何してたんだってばよ?ずっと里に来てなかっただろ」
「うん。ちょっといろいろあってさ」
「・・・あのさ。お前にも言っておかなきゃいけねーことがある」
「うん?」
聞き返した私を見向きもせず、ナルトは地面に目線をやり落ち着いた声でそれを言った。
「・・・エロ仙人が死んだんだ」
「・・・」
「お前ってば結構エロ仙人と仲良かったみてーだし、お前にはちゃんと言っとかねーとなって思ってたんだ」
「・・・そっか」
「うん。・・・殺したのは暁のヤツらしい。んで、オレは明日からソイツらをぶっ倒すために修行に行かなくちゃならねーんだ」
「・・・うん」
「いってらっしゃい」と言うと、彼は「おう」と言ってくしゃりと笑った。