第38章 わたしは
「・・・勝手に決めてしまってごめんなさい」
「いえ、ハルさん。あなたの気持ちは察しますし、もう何も言いません。ですが、これからは一人で決める前に私たちに言ってください」
鬼鮫の言葉でどうにかその場は収束したが、小南は今も納得していないようだった。
数日前のことを思い出していると、小南は少し呆れたようにため息をついていた。
「―――でもね、私嬉しかったよ。小南ちゃんが私のために怒ってくれたことがさ」
「当たり前じゃない。あなたはもっと自分を大切にすべきよ。これから大きくなって、いろんなことを経験していくのだから」
「・・・うん」
私に“これから”なんてあるのかはわからないけれど、小南の言葉に少し嬉しくなった自分がいた。
すると思い出したように小南が口を開いた。
「ハル、しばらく外出は控えてもらえるかしら」
「・・・何かあるの?」
「ちょっとね。それに合わせてあなたの任務は休みにするから、約束してくれるかしら」
「わかった。約束するよ」
「休みは明日からでいい?ペインにお願いしてみるけど、たぶんオッケー出してくれるはずだから」
「ペインさんと小南ちゃんは仲がいいんだね」
「ええ。だって小さいころからの付き合いだもの」
小南はそう言って少し懐かしむような笑みを浮かべた。
私もつられて笑みを浮かべ、しばらく小南と話していた。
―――次の日。
『ハルー、もうお昼だよ。そろそろ起きなよ』
「・・・ん」
目が覚めたのは、スイレンが私を起こし始めてから十五分後のことだった。
「いま何時・・・」
『十一時半。ちなみに一回、鬼鮫が見に来たよ』
「ふうん・・・」
(こんなに寝たの、イタチ兄さんがいなくなってから初めてだ・・・)
昨晩は小南が帰った後、鬼鮫と他愛もない話をして寝た気がする。
『・・・今日はどうするの?』
「あー・・・うん。木ノ葉に行こうかなあ・・・」
うとうとしながら居間に向かいながら、私は支度を始めた。