第36章 兄が望んだもの
「結局、お前の言ったことが正しかったな・・・」
「え?」
「前にお前が“本当のことっていうのは大体隠されてる”って言っただろ」
それは三代目が亡くなったあと、イタチたちがナルトを狙って木ノ葉を訪れた時のことだった。
クロは思い出したように「そんなこともあったね」と笑うと、サスケの隣に並んだ。
「あの時はそんなことあってたまるかって思っていた・・・でも、お前の言うことは正しかった。お前が言っていた真実を知り、オレはやっとあの時のお前の言葉を理解することができた」
「だから言ったでしょ。時間は掛かるって」
「・・・お前は本当に変なヤツだな。大蛇丸の時は断ったくせに、今オレとここにいる。木ノ葉はいいのか?」
「私はサスケと違って復讐とか興味なかったし、大蛇丸様に魂を売ってまで強くなりたいとは思わなかったからね。木ノ葉は、まあちょいちょい通ってるよ。サスケは私の大切な人だし、できることならずっといっしょにいたいの」
「・・・お前って昔からそういうところあるよな」
「え?あ、恋愛感情はないから勘違いしないでね」
「・・・わかってる」
クロの小さく笑った声がサスケの耳に届く。
いつも笑っていて、飽きずにサスケの傍にいるクロは、サスケが暁に入った時から、雰囲気が少し変わった。
時折、ボーッとしている。
けれど、それ以外は何も変わっていなかった。
サスケが「木ノ葉を潰す」と言ったときでさえ、彼女は「そっか」と言っただけだった。
何も思わないのだろうか。
それとも、言わないだけなのだろうか。
「・・・サスケ、気をつけてね」
「・・・ん」
「私、“もういい”って言われるまでずっとサスケといっしょにいたいから。妹さん探すのは私も協力するよ。・・・見つけれたらいいね」
「・・・ああ」