第34章 恩返し
出血も治まり、致命傷の修復は何とか終わった。
「あ、ぶなかっ、た・・・」
『もう大丈夫だと思うよ。ハル、お疲れさま。今は寝てるだけだから、心配しないでも平気だよ』
「・・・そう・・・よかった。スイレンもお疲れさま、ありがとね。アンタがいてくれて良かったわ、本当」
『えへへ・・・しっかし、キミもよく考えたね。ここを使うなんて』
「ネネもここの掃除をちゃんとやってくれたみたいだし、頼んで正解だったわ。ありがとね、ネネ」
『どういたしまして!ウチにできることなら何でもやるで!』
私がいたのは、昔、暁のアジトに行く前に住んでいた場所だった。
長いこと行ってなかったから埃まみれなのはわかっていたので、ネネに掃除を頼んだ。
昔のトラウマが蘇る場所でもあるが、他に思いつく場所がなかった。
ベッドに横たえたアスマの身体をタオルで拭き、傷を消毒しながら包帯を巻いていく。
致命傷は治したものの、その他の傷は修復はしないでいた。
(・・・アスマには悪いけど、木ノ葉に帰るのはしばらく待ってもらおう。その為にも致命傷以外の時間をかけて治るようにしないと)
致命傷となった心臓の穴は、きちんと塞がったものの少しだけ傷痕が残ってしまった。
申し訳ないと思ったが、でもこればっかりはどうしようもない。
とりあえずは助かってよかったと思うようにすることにした。
「スイレン、しばらくの間、アスマさんのこと見ててくれない?」
『え、僕が!?嫌だよ、ネネに任せたらいいじゃん!』
「えー?じゃあどうしようかな・・・分身一つ置いていくか」
『ハル、ウチは構わんよ。この人、たぶんしばらくの間は目が覚めんと思うし、熱も出るかもしれんから、ウチがおった方が安心やろ』
快くそう言ってくれたネネだが、ネネは大蛇丸に植え付けられたトラウマがあって、人間はあまり得意ではないはず。
結局、ネネ一人では心配なので、私の分身を一人置いていくことにして、ひとまず帰ることにした。
「じゃあ頼んだよ、ネネ。明日も来るつもりだから、そんなに気を張らなくても大丈夫よ」
『・・・ん、じゃあね。アンタもお兄さんへの言い訳、頑張ってな』
「あ、う、うん・・・バレてないことを祈るしかないよ」
それじゃ、と手をふり、私はアジトへの帰路についたのだった。