第34章 恩返し
次の日。
「・・・よし、バレてないよね」
隙を見て外へ出ると、ホッとため息をついた。
イタチに見つからないように分身を置いて外へ出るのは、とても緊張した。
「じゃあ、スイレン。とりあえず・・・角都さんと飛段さんを探して。あの二人を見つけたら、あとは何とかなると思う」
『オッケー。わかったよ』
「まあそもそも、今日戦うかどうかわからないんだけどね」
木ノ葉と暁が今日出会うという保証はない。
だが、今日かもしれない。
そう思って、私はまず、不死身コンビを見つけることに専念した。
木ノ葉の対暁部隊を探すより、彼らを探したほうが確実だ。
火の国にいるのとは間違いないので、とりあえず火の国に向かうと、スイレンの鼻を頼って彼らを探すことにした。
―――数時間後。
国とはよく言ったもので、なかなか広かった。
鳥になったスイレンの上から地上を見下ろしてみるが、まあなんと見つからないことか。
「どう?スイレン」
『んー・・・広い範囲で見られるかなと思ってこの姿になったんだけど、あんまり得策じゃなかったかな。ハル、下に降りるけどいい?』
「うん」
スイレンは『ありがと』と言うと、高度を下げ、地上から十メートル付近まで近づくと、人型になって私を抱えて飛び降りた。
「・・・びっくりした」
『あはは、ごめんごめん。じゃ、下ろすよ。よっと』
「ありがとう。それでスイレン、地上から探すの?」
『うん。ちょっと待ってね、今から探すから』
そう言うとスイレンは目を閉じ、息を吐くと、スウッと大きく息を吸った。
『―――んー、ハア・・・あー・・・んー・・・うん。よし』
「・・・スイレン、大丈夫?疲れたでしょ、休憩しよう。ごめんね、全部任せっきりで」
『ハル、僕は別に疲れてないよ?さ、見つかったから、行こう。ちゃんとついてきてね』
「見つかった・・・? いつの間に」
『さっき。空気を取り込んで、匂いを探してたんだよ』
「!・・・そんなことできたの?」
スイレンは自慢げに『まあね』とニッコリ笑って頷いた。
その後、私はスイレンの後ろをついていった。