第34章 恩返し
お風呂から上がると、まだ昼間だったので、みんなが昼食を食べていた。
飛段はボロボロになった服を捨て、上半身裸のままだった。
久しぶりに見る光景にホッと息をつくと、私も席についた。
サスケと木ノ葉の対立を目の当たりにしてしまったせいか、胸がもやもやしていたが、私にできることは何もない。
ぐるぐると、解決策が何も浮かばないままサスケのことを考えていた。
「明日、賞金首を狩りに行く。飛段、寝坊するなよ」
「はあ?帰ってきたばっかじゃねーか」
「ハルがいたからだ。本来ならばあのまま行くつもりだった」
「んだよ、めんどくせーな・・・なあ、鬼鮫」
「私にふらないでもらえます?」
飛段はさもめんどくさそうに、ガシガシと頭をかいたあと、「わかった」と言った。
二人はたぶん仲がいい・・・はずだ。
現にこうしてうまくやっているんだし、喧嘩をしているところを見たことがない。
「どこに行くんです?」
「火の国だ」
淡々と答える角都を見て、そのあとイタチを見た。
私に気がついたイタチは「なんだ?」と言って、顔を近づけてきた。
(ダメ元だけど・・・)
「あのさ、イタチ兄さん・・・私も角都さんと飛段さんについて行っちゃダメかな?」
そう言うとイタチは少し間をあけて「・・・行きたいのか?」と聞いてきた。
予想外の返答に少し驚き、しどろもどろで返す。
(・・・行きたいって言ったら行かせてくれるのかな?)
「あ、いや・・・たまには遠出したいなって」
「今日帰ってきたばかりじゃないか。ハル、しばらくは外出を控えてもらうぞ」
「あ、そうだね。やっぱり行かない!疲れたし、イタチ兄さんと一緒にいたいから」
「・・・そうか」
結局、行かないことにした。
私が「行きたい」と言ってしまえば、きっとイタチを困らせることになる。
それは嫌だし、何より「いっしょにいたい」と言ったときのイタチの表情がとても柔らかいものだったから、行く気も失せたのだ。
すると、そのやり取りを見てい鬼鮫が「よかった」と言った。
「ハルさん、この二人と行ったらいけませんよ。あ、そういえば今日偶然会ったと言っていましたね。その時、まさか死体なんて持ってなかったでしょうね?」
「会ったのは処理したあとだ」
「ならいいんです」