第34章 恩返し
「さーて、やっと帰れるね。スイレン」
『キミのお兄さん、絶対怒ってるよ』
「あー・・・そうかもね」
里へ戻り、綱手への報告を済ませた後、私は急ぎ足でアジトへ帰っていた。
まあ、急ぎ足と言っても、大きな鳥になったスイレンの背に乗っているだけだが。
何しろ、伝えていた予定より少しばかり長引いたのだ。
イタチの説教は回避できないと踏んで、とりあえず素直に謝っておくか、と腹を括った。
すると、少し離れたところで見慣れた二人組がいることに気が付いた。
「・・・あれ?ちょっと待って、スイレン」
『どうかした?』
「飛段さんと、角都さんだ」
スイレンの背から飛び降り、彼らの目の前に着地する。
一瞬身構えた彼らだったが、私だと気が付くと「なんだ、お前か」と座り直した。
「・・・どうしたんですか、それ。飛段さん、服ボロボロじゃないですか」
「ああ?あー・・・まあな。今、二尾を封印中・・・っと、イタチ怒ってんぞ」
「えっ」
(二尾を封印中ということは・・・人柱力だった二位ユギトは・・・死んだのか)
しかし、何はともあれ、彼らが無事だということにひどく安心した。
「イタチ兄さんに怒られるのはわかっています。私が悪いですし・・・それより飛段さんも角都さんも、無事で何よりです」
「当たり前だ。このオレがあの程度で・・・いや、お前に言う事ではないな。それより今回はどこをほっつき歩いていた?随分と長かったが」
「えーっとですね・・・えーっと・・・」
角都の目線が痛い。
適当な言い訳が見つからず視線をあちこちへやっていると、角都にため息をつかれた。
「ハア・・・何をしているかは知らんが、ほどほどにしておけ。お前は大蛇丸に狙われているんだからな」
「・・・はい」
「わかったならいい。もう少しで終わるから、それまで待っておけ。一緒に帰るぞ」
「はい!待ちます!」
どうやら、一緒に帰ってくれるらしい。
思わず笑みをこぼすと、飛段に「マヌケな面してんなぁ」と言われた。
「偶然でも嬉しくて」
そう言うと、「そうかよ」と彼も笑った。
しばらく経ってから帰路につくと、アジトにいたイタチに謝ったあと、お風呂へ直行した。