第33章 笑顔
しばらくすると、サクラ、ナルト、ヤマトの順に出てきた。
ナルトとサクラは呆然とサスケを見上げている。
分身の私が最後に出てきて、彼ら同様見上げていた。
すでに需要はないので、術を解く。
ヤマトだけチラリと私の方へ目を向けた後、何かを察したように厳しい顔をした。
「そいつがオレの穴埋めか?・・・またぬるい奴が入ったもんだな。おいクロ、お前木ノ葉側の人間だったのか?」
「え?うん、今日はね」
サスケと話していると、全員の視線が私に向けられていることに気が付いた。
「クロ・・・どういうことだってばよ・・・?なんでお前が、サスケといるんだ・・・?」
「どういうこと・・・って、ナルトくん。それは私がサスケのことを言わなかったってことかな?」
「決まってんだろ!!」
「だって、任務じゃないでしょ?」
「・・・は?」
「今回の私にとっての任務に、“サスケ奪還”は含まれていない。それに、聞かれなかったし?」
「お前・・・!」
「私は私のしたいようにする。だから私は大蛇丸のところに行く気もないし、完全にナルトくんたちの味方につくわけでもない」
そう言って笑えば、ナルトとサクラは怒りの籠ったような目で私を見た。
肩をすくめて見せると、横からサスケの鼻で笑ったような声が聞こえた。
これ以上口を開くと完全に敵視されてしまいそうなので、これから先は事の成り行きを見守ることにした。
「オレには別のつながりがある・・・兄との憎しみっていうつながりがな。いくつものつながりは己を惑わせ、最も強い願い、大切な思いを弱くする」
「・・・それなら、なんであの時・・・オレを殺さなかった!?」
「簡単な理由だ。あいつに聞かされたやり方に従って力を手にするのが癪だっただけだ」
(“力を手にする”・・・万華鏡写輪眼は最も親しい友を殺すことで開眼すると言われているから、か。イタチ兄さんも、辛いことを言ったな・・・)
すると、次の瞬間、サスケがナルトの肩に手を置いていた。
「!」
「だから今度は・・・オレの気まぐれでお前は命を落とすんだぜ」
そう言うとサスケは、腰に差している刀をゆっくりと抜いた。