第33章 笑顔
しばらく話していると、ドアが静かに開いた。
黒い何かが数体ベッドに乗り、サスケの背のすぐ傍まで迫っていた。
話していると言っても、サスケは横になって私に背を向けたまま目を閉じていたので、私もそろそろ黙りかけていたのだが。
サスケはピクリと反応し、私はそちらへ視線を向けた。
「・・・誰だ?」
「バレちゃいましたか・・・でもボクはもう先手を取ってる」
外から聞こえた声は、聞き覚えのある声だった。
そして部屋を覗く彼と、目が合った。
彼は一瞬、ハッとしたような表情をしたあと、真面目な顔になった。
「目的はなんだ?」
「君を木ノ葉へ連れ帰る!・・・もっとも最初は君を殺すために来たんだけど・・・」
「・・・」
「ボクは彼が必死にたぐり寄せようとしている君とのつながりってのを、守ってみたいんだ」
(サイ・・・なんか、変わった。ナルトに影響されたんだな。いいことだけど・・・)
「つながり・・・?そんなことの為にオレの眠りの邪魔したのか・・・」
(待って、サスケ機嫌悪くない・・・?)
次の瞬間、
『ハル!』
「・・・!!」
ドォン!という大きな音がして、大きな砂煙があがった。
私はいつの間にか人型のスイレンに抱えられており、スイレンはサスケの横に立っていた。
『ちょっとお前!急にやめろよ!ハ・・・クロがケガしたらどうするつもり!?お前ホントに殺すよ?』
「ちょ、スイレンったら!ありがと、助けてくれて。おかげで無傷だから。サスケ、ケガはない?」
「フン・・・あるわけないだろ」
「そう、それならよかった」
(正直、あれくらいの爆発なら私一人でもなんとかなるけど・・・スイレンは心配性なんだよね)
とはいえ、助けてもらったことには違いないので、オオカミ姿に戻ったスイレンに再度お礼を言い、下を見る。
咳込んでいるサイを見下ろすサスケの目は、冷たかった。
『ハル、ホントに大丈夫!?・・・ていうか、コイツ寝起きの機嫌悪すぎじゃない!?変なところキミにそっくりだね!』
「・・・スイレン?」
『あ、いや別にキミが毎日機嫌悪いっていうわけじゃなくて、その、』
「別にいいよ」