第33章 笑顔
サイがサスケと会った時から、少し経った頃。
私たちは大蛇丸のアジトに足を踏み入れようとしていた。
ヤマトに渡された粒状のものをナルトとサクラが飲むと、私も口に入れた。
それを見たヤマトが指揮をとりはじめた。
「潜入隊列はボク、サクラ、ナルト、クロの順だ」
『僕行かないから』
「スイレン行かないそうです。私だけ行きます」
歩き始めたあと、私は隙を見て分身と入れ替わると、ずっと口に入れていた、先程ヤマトから受け取ったものを吐き捨てた。
(ヤマトには悪いけど・・・チャクラを感知されるのは勘弁してもらおう。こっちは分身に任せて・・・さて、私はどうしようかな)
ヤマトたちの姿が見えなくなったのを確認すると、空を仰いだ。
「ハア・・・よし、サスケ兄さんのところ行こう。たまには本体で、ね」
『僕も行く!』
「・・・さっき、行かないって言ってたじゃん?」
『キミが行くなら僕も行く!』
「・・・そう?なら、行こうか。真正面から入るからスイレンは誰か来たら言って」
『オッケー』
辺りに人の気配はない。
それを確認すると私たちは大胆にも、真正面から中に入ることにした。
というのも、いつも私がサスケに会いに来ている時はいつと正面から入ることにしているのだ。
何をするわけでもなく、ただ全力で気配を消していた。
その甲斐あってか、私たちは誰にも気づかれずにサスケの部屋の前まで来ることができた。
ガチャ、と音がしてドアを開ける。
中に入ると、ベッドの上にサスケが寝転がっていた。
「サスケー」
「・・・クロ?」
「そうだよ!今日は本体なのー。あ、でもあんまりはしゃぐと大蛇丸様にバレちゃうから」
「・・・」
サスケが体を起こし、私を真正面から見る。
サスケは数秒間黙ったあと、「ハア・・・」とため息をついた。
「お前、バカなのか?」
「え、なんで?」
「自分が狙われていると知っていて、わざわざここに来るヤツがあるか。大蛇丸が言っていた。お前がほしい、そのためにオレからも言ってくれないかとな」
「そっかあ・・・でも私は、サスケに会いに来てるんだよ。ね、ちょっと話でもしよ?」
(大蛇丸、私のことに気づいていないはずだよね?)
(イタチを狙って失敗。だからサスケを狙い、今は私。バレてそうで怖いな)