第33章 笑顔
―――その頃、大蛇丸に連れられて、サイは彼らのアジトへ足を踏み入れていた。
「遅かったな。午後から新術の開発に付き合うんじゃなかったのか・・・大蛇丸」
「そう怒らないで。代わりに今日はちょっとしたプレゼントが手に入ってね・・・あなたと同じ木ノ葉出身の忍よ。懐かしい故郷話でもできるんじゃなくて?」
「フン・・・」
「ああ、そういえばクロちゃんに会ったのよ。また断られてしまったけど・・・アナタからも何か言ってくれるかしら?」
「・・・アンタも懲りないな」
「サスケ君が言ってくれたら、あの子も来るかもしれないでしょう?クロちゃんはサスケ君のことが大好きなんだから」
サイの目の前には、うちはサスケがいた。
サイの脳裏にナルトとサクラの言葉が思い返されていた。
彼のなかに少しの興味が生まれる。
「初めまして。ボクはサイといいます」
「失せろ」
「・・・笑顔は作ってみても、ボクは嫌われやすいようだ。ナルトくんにも嫌われたばかりだってのに」
どうやらサスケはあまり機嫌が良くないらしい。
サイを眼だけで威圧したあと、ため息をついて立ち上がった。
「これから付き合え、大蛇丸」
「ナルトくんはずっと君のことを探していたようだ・・・この三年間」
「いたな、そんな奴も」
「ナルトくんは君のことを本当の兄弟のように思っていると、サクラさんから聞きました」
「・・・オレの兄弟は、殺したい男ただ一人だ」
そう言って、サスケは消えた。
サイが、ナルトたちから話を聞いていて抱いていたイメージとは程遠く、サスケは正真正銘、危険人物には変わりなかった。
サスケが消えると、大蛇丸もどこかへ行ってしまった。
カブトと二人きりになったサイは特に何を言うでもなく、ただ、ダンゾウに与えられた任務について考えていた。