第33章 笑顔
「・・・何か?」
「いや・・・僕がしようとしたことを君がしてくれたから、手間が省けたと思っただけだよ」
「サクラちゃんの傷、治してくれるんですか?九尾のチャクラが入ってますよ?・・・まあ、今は傷を塞ぐ程度しかしてませんが」
「君たちがいれば暁の一人や二人を始末してくれるかもしれない・・・期待しているよ。目的は同じだからね」
「・・・」
「さ、ボクはもう行くよ。じゃあ、また」
そう言ってカブトは消えてしまった。
最期の言葉が私の顔を険しくさせていたが、サクラの私を呼ぶ声に我に返った。
「・・・クロ、ありがとう。もう大丈夫」
「まだ終わってないんだけど・・・」
「いいよ。それより今はナルトを優先しなくちゃ」
「そう?」
(まだ九尾チャクラ抜いてないんだけど・・・)
『本人がいいって言ってるんだし、いいんじゃない?』
「スイレン、戻って来てたんだ」
『うん。キミの分身が「戻って」っていうから』
「サクラちゃん、あとに響きそうだな・・・あのチャクラ、ちょっとヤバいよね。身体に取り込みたくないな」
サクラは、尾獣化が解けたナルトに医療忍術を施している。
さすが、と思ったが、やはり先程の傷が痛むのか、痛みを感じているのが表情に出ていた。
「サクラちゃん、大丈夫?代わろうか?」
「ううん・・・平気」
「・・・そう?」
「私にできるのはこんなことくらいだから・・・」
ナルトの身体に受けていたダメージはどんどん回復していた。
「ヤマト隊長・・・ナルトを止めたさっきの術、私にも教えてくれませんか」
「・・・それは無理だよ。木ノ葉の中であの術を使えるのは初代様の細胞と適合したボクだけさ」
サクラはその言葉を聞くと、少し経ってから口を開いた。
「いつもそう・・・私がナルトにしてあげれるのはほんの小さなことだけ」
「出来ることの大きい小さいは問題じゃないよ。大切なのはナルトを思う気持ちの大きさでしょうよ」
「・・・!」
すると、ナルトが目を覚ました。
彼は起き上がると、状況が把握できていないのか「オレどうしたんだっけ?」と首をかしげていた。
「アレ?なんでサクラちゃん泣いてんだってばよ?あ、さてはまたサイに言われたんだろ!ブスとか!怪力とか!・・・うっ」
「勝手に怪力まで増やすな」